最近のゲームって容量が何十GBとかいう領域に達した結果、めちゃくちゃにボイス入れるじゃないですか。「豪華声優陣!」と謳ってフルボイスのシナリオが提供されるやつ。
あれめっちゃ邪魔じゃないですか?
だってこっちはゲーム遊びに来てるんですよ。それが何を勘違いしたのか練りに練ったであろう渾身のストーリーを声優の熱演で楽しんでもらおうとしてるんです。それゲームである必要あるか? 連作ドラマCDとかにした方が安く済まない?
とか言っちゃうと話進まないんですけど。まあそんなアホみたいなことやらかしてるゲームは流石にこの世に存在するはずは無いので、「濃密なゲームプレイに重厚な世界観」であることを前提とします。
やっぱ邪魔じゃないですか?
話進まないので先の段階に行きますが、自分が遊んだ限りフルボイスのゲームは「楽しかった」か「苦痛だった」の2択であることが殆どです。
そして考えてみた結果、「楽しかった」側にあるゲームはゲームパートとシナリオパートのメリハリがしっかりしているのではないか? と思いました。
言い換えれば、フルボイスがゲームパートに干渉しないことです。ここで言う「ゲームパート」とは、アクションゲームならアクションシーン、RPGならマップ移動や戦闘シーンといった具合に、「プレイヤーがコントローラーを握って操作する部分」のことです。
いくつか例を挙げてみましょう。
この辺りのタイトルなら、ざっくり「フルボイスだな」と感じていただけるのではないかと思います。知らない人は軽くでいいから遊んでみてね。
これらのタイトルのうち前半2つが「楽しかった」、後半2つが「苦痛だった」と自分が感じたものです。後半2つは私怨に近い感情も混じってますけど敢えて棚に上げます。
『メタルギアソリッド』は、所謂「ステルスゲーム」の礎を築いた作品です。小島秀夫監督による映画的演出を用いた迫力のムービーシーンも好評でした。そして、ゲームの容量が増えれば増えるほど演出の幅も広がり、ムービーが占める割合も大きくなっていったシリーズです。
それでも「楽しかった」と感じたのは、ゲームをしている(操作している)時に余計なボイスが挟まらないからだと思います。
説明すると、シリーズ共通で「無線技術を用いた会話」がしょっちゅう行われるのですが、その際には専用の画面に遷移します。つまり(ムービーも含めて)、ゲームパート(操作する部分)とシナリオパート(操作しない部分)がハッキリ分断されているわけです。
それでも後発の作品では当時の流行に乗っかってQTEを取り入れたり、無線用の画面が削られたりしてはいるのですけど。僕はQTE嫌いです。何が面白いんだアレ。
次に『ファイアーエムブレムEchoes』。ファミコンで発売されたシミュレーションRPG『ファイアーエムブレム外伝』を現代風に遊びやすくリメイクした作品です。
大まかなゲームの流れとしては、
- マップに突入
- 現在の状況を伝える会話やナレーション
- 戦闘準備→戦闘
- マップクリア後の会話
- 次のマップへ……
が繰り返されます。『Echoes』はシリーズ初のフルボイス作品としてこの2番目と4番目、つまり会話が必要な部分のみにボイスが当てられています。実際には敵将との戦闘会話とかもありますが、テンポを乱すほどではありません。
これだけ見れば「普通じゃね?」と思うかもしれませんが、この普通のことしかしないことが如何に良かったかを、自分は次回作で思い知ることになりました。
というわけで『風花雪月』です。
『風花雪月』は今までのシリーズに比べてよりキャラクターとの触れ合い要素が強化され、もはや拠点を歩き回って仲間と交流することがメインです。シミュレーションRPGだよな。
肝心のゲームパートはシリーズでも比較的難易度が低いほう。それはともかく、前後に挟まる会話のテキスト量が単純に多いほか、これは遊んだ人なら分かると思うんですが本編が1話進むまでが凄まじく長いので、体感としてゲームパートがかなり短い。下手したらボイスを聴いている時間の方が長いのでは。
自分は『ファイアーエムブレム』という作品の優先度は手ごわいシミュレーション>人間ドラマだと思っていたら、『風花雪月』は人間ドラマ>シミュレーションだった、といった具合で拍子抜けしました。あと、後半は育成する意味がほぼ無くなるので作業感が強い。(ただの愚痴)
最後に『シャイニーカラーズ』。
もう面倒なので遊んだことがある人しか読んでない前提で書きますが、ゲームテンポ最悪すぎません?
- レッスンして(ここまでゲームパート)、
- フルボイスのシナリオが1つか2つ挟まって、朝コミュが入って(ここまでシナリオパート)、
- オーディションを受けて(ここまでゲームパート)
- フルボイスのシナリオが挟まって……
の繰り返しなわけです。何をさせたいんだ。
一応ジャンル上は「アイドル育成シミュレーション」とかそんな具合ですが、プレイヤーが5秒操作したらフルボイスで5分待たされるとかざらですよ。それでいてユーザーはほとんど全員がシナリオを堪能している前提で交流しています。わりと敷居高いですよ、ソレ。ちなみに自分は初見だろうと4倍速にすることが多いです。
例えるなら、「ババ抜きでお互い手札が10枚ずつあるのに1手引こうとするたびに相手が心理戦を仕掛けてくる」感じ。楽しいか? いや楽しい人もいるかもしれんが。
そんなわけでまとめます。
- 『風花雪月』はシミュレーションRPGなのにシミュレーションRPGじゃない部分にかかる時間が長すぎる。
- 『シャイニーカラーズ』は育成シミュレーションなのに育成パートの操作時間が少なすぎる。
フルボイスが良いか悪いかは人によると思いますが、フルボイスが挟まる機会が多く、プレイヤーが操作しない時間の方が長いのは問題だと思います。
それも力の入ったムービーならともかく、スマホゲームは性能の限界でテキスト主体にならざるを得ないので、単純に絵面が地味。そしてフルボイスは飛ばしづらい。(音声が途切れるのがすごく気になる繊細人間)
その結果「RPGを遊ばせたいのかシナリオを読ませたいのかどっちつかず」状態に陥っているゲームは珍しくないと思います。結局金を集める手段はガチャなのにな。
言い忘れたので書いておくと、自分はノベルゲームは到底遊べないと思っています。たぶん小説読むか、落語聴いた方が楽しい。
あとここには関係無いこと書いておきますが、イベントシナリオ読まないと周回クエスト挑めないのやめて下さい。お願いですきららファンタジ何とかさん。