Saltの思うこと

思ったことを書いていけたらいいなあ

2021年冬アニメ感想

恒例。何を見ていたか分かりづらかったので今回から目次を付けました。過去記事にも適用しています。

裏世界ピクニック

タイトルののんびり感から『少女終末旅行』に『ゆるキャン△』的エッセンスを加えた作品だと勝手に思っていたのですが、けっこう壮絶な内容でした。ゲームのバグワールドを思わせる「裏世界」を冒険するという、人生に不要なスリルばかりを求める人類には打ってつけなコンセプト。そこに都市伝説要素も加わって、ホラー要素の主張が強めでした。

もともとホラー系が苦手なのもあって、知識が無いために都市伝説のくだりも「あの話か!」と直感で理解できるものはほとんどなく、極めて空気的に楽しんでいました。アニメーションとしてエンタメ化されていたから楽しめたレベル。

と言っても、都市伝説とか妖怪とかの類って「よく分からないから怖い」のであって、全容が分かってしまうと途端に陳腐化するものですからね。その点で考えれば、よく分からないものをよく分からないなりに楽しんでいたのは間違ってはいないのかもしれん。

PUI PUI モルカー

放送時間の関係上どうあがいてもリアタイはできないし、あまり世間の流行に乗るのも得意じゃない自分にとって「本編が2分半しかない」、この1点だけで最終回まで見させたバケモノです。モルモットだけど。そんなわけで恐らく今期誰も予想しなかったであろうダークホース。モルモットだけど。

モルモットから進化した乗用車系生命体モルカーと、そんな彼らを振り回し振り回される人々のお話。車に関するトラブルやストレスを解決してくれるアイデアとして生まれたという経緯があり、事実序盤のお話は親近感の湧く内容でした。

視聴者も慣れ出した後半からはストップモーションアニメとしての見どころを拡大。どういうわけかアクション映画ばりの迫真映像を作ったり、本物のモルモットまで出したりして、本当に毎週話題に事欠かない。発想力の勝利だと思います。やろうと思えばいくらでも話は作れそうだし、またいつか見てみたいですね。

ワンダーエッグ・プライオリティ

あまりに深い時間にやるためか、あるいは録画しにくいためか、話題になりづらい日テレ深夜アニメ。例に漏れず見た人からの評価は高め。もちろん自分もです。

中高生の自殺と、それに関わるトラウマに死後の世界で立ち向かうという、この時期に放送される意味合いが強そうな内容でした。OPも卒業ソングだし。

お話としては1話完結に見せかけて長期的に扱うテーマが多く、演出上時系列が行ったり来たりを繰り返すので、しっかり腰を据えて見ないと知らぬ間に訳がわからないことになりそう。逆に言えば、テレビに張り付いて見られるぐらい充実していました。

しかしながらキー局放送の定めか、間に合わなかった真の最終話は特別編という形で後日放送に。それまであらすじを覚えていられるか正直不安ですが、キッチリ風呂敷を畳んでくれると信じて待とうと思います。感想を改めて書くかは分からないけど。

装甲娘戦機

自分らの世代には馴染み深い人もいるであろう『ダンボール戦機』が大元にある作品。当然自分は全くと言ってほど縁がありませんでした。まあ問題はありません。用語レベルの繋がりなので。

シナリオはいわゆる「笑いあり涙あり」な旅もの。登場人物の誰もがマイペースですが、ここぞという場面ではきっちり決める。一定の需要があるメカ娘的ジャンルとして、アクション要素もばっちり押さえています。終盤にかけて絵的に厳しいのかな? と思わざるを得ないシーンはありましたが、アクション部分はCGということも手伝ってあまり違和感は無かった印象。こういう時の見せ方に創意工夫があると、好感度は高くなりますよね。今どきのアニメは総集編ひとつ作るにも凝った内容だったりするので侮れない。

最終回、というかエピローグのお別れはあまりに描写があっさりしすぎな気がしなくもないですが、世界設定的に、きっちり補完されるよりは余韻があって良いです。

オルタンシア・サーガ

スマホゲームとしては結構古株なタイトルだったはず。CMにもあった通り最近リメイクもされています。ちなみにシミュレーションRPGだと思っていたのですが、普通のRPGでした。

「サーガ」とタイトルに冠しているだけあって王道の戦記ファンタジーでした。古典だと言われそうだけど、自分はやっぱりこういうのが一番好きです。ただ『グランクレスト戦記』などでも稀に思ったのですが、軍対軍の描写は上手く描けないとツッコミどころ満載になってしまうんですよね。プロットは一人のキャラに焦点を当てるけれど、映像としては背景もちゃんと作らないといけないので。今回は元がRPGというのも影響しているのかな。

さて、シナリオは原作で言う第1部にあたる部分だそうですが、このまま終わるとどう考えても後味が悪いのが気になりました。当然ゲーム側ではこの後にも続いていくのですが、アニメは続編作られるのかな……。変に濁したりせず、むしろ続ける気満々で原作通りに終わらせた点は評価するべきですかね。

Dr.STONE -STONE WARS-

『鬼滅』『呪術』と立て続けにジャンプ作品がヒットを飛ばす中でしれっと始まった第2期。こっちもヒットはしているはずなんですが、前述の2つに比べるとさすがに世間で話題になっているイメージは無いんだよなぁ。自分はそっちの方が居心地良いんですけどね。

さて、今回は1クールでしたが、とっても濃密な時間でした。前に『SB69』後ろに「きらら」と女の子女の子している時間帯にぶち込まれたにも関わらず、しっかりストーンワールドに引き込まれました。

1クール目から引き継いだ司との因縁にようやく決着がつき、新たな展開を控えた千空達は大きく舞台を移すことに。当たり前のように3期も決まったということで、末永く続いてほしいですね。

ゆるキャン△ season2

間違いなく今期キラータイトル。放送中に次々と関連ワードがトレンド入りするのを見ていました。

純粋にキャンプを謳歌していた1期に比べ、2期はそこから発展した人間関係の変化や大胆な遠出まで、スケールが順当に広がりました。間違いなくゆるくは無くなったけど……。結果としてそれが文脈を生むなど、よりエモーショナル方面に力が込められていたように感じました。

作中でなでしこが言ったように終わってしまうのは何とも寂しいですが、しかし『ゆるキャン△』としては劇場版や実写ドラマの第2期もあるので、まだまだ長い付き合いになりそうで、何よりです。

天地創造デザイン部

前門の『ゆるキャン△』、後門の『ひぐらし業』に挟まれた本作。あまりに空気感が違いすぎる前後2作の橋渡しとして、「生き物の生態」をテーマに置いた本作はなかなかにグロテスクでファンシーで、ちょうど良かったのではないでしょうか?

生き物を主軸にした作品は昨今珍しくないですが、生態を直接説明してくれるものはそんなに無かった記憶。そういった点で学習アニメとしての地位も確立できそうです。個人的にも、生き物の身体構造上の工夫って見ていて楽しいので。

マンネリ化しないよう話作りにも工夫が見え、意外なところから馴染み深い動物が生まれたり、気を抜いて見るにはピッタリでした。逆に肩肘張って見ていた人には、退屈に感じたかもしれませんね。

バック・アロウ

中島かずき氏の作品は意外にも『グレンラガン』と『コンレボ』ぐらいしか見てなかったりします。まあそれはともかく、今期見ていた中では唯一、春クールまで放送となるアニメです。一応、3月放送分までの感想であることを明記しておきます。

外連味たっぷりなグイグイ来るシナリオとスピーディな台詞回し、それでいて一本筋の通ったものを感じる独特な作品です。「個人の信念がそのまま戦闘技能に繋がる」というのは面白いですね。

登場する国ごとに服装を始めとした文化レベルがバラバラなのもしっかり作られているという印象。そういった個性豊かなキャラが一つの画面内に同居して違和感無く成立するのも良い。

話を成立させるためにやや強引な手法が目立ったりしますが、ご都合感は薄いです。2クール目に入っていっそう盛り上がることを期待しています。

IDOLY PRIDE

アイドルアニメ戦国時代、加えてアプリゲームの宣伝も兼ねる前日譚的存在という重い役割を背負いつつ、志は高く持って鳴り物入りの登場でした。

事実、冒頭は物語のフックとしては興味を惹くものだったと思います。中盤〜後半にかけては王道のアイドルものらしいメンバー集めや対立・理解、そして他ユニットとのライブバトルといった感じ。

……そう、ここまで書けばお気づきでしょうが、最初以外のパンチが何とも言えない強さだったんです。個人的に光る部分はいくらでもあるんですが、時間的制約とその他諸々の事情で個人個人の深掘りがあまり出来ていなかった印象。まあゲームやれってCMで言ってますからね。

最終回に関しては同プロダクションの2ユニット対決で、結果は大会規定により引き分けの両者優勝という、いくらW主人公だからってもう少し魅せ方というものがあるだろうとしか言えない、ハッキリ言って茶番だったのもいただけないです。ここまで敗れてきた他事務所のユニット達が浮かばれなさすぎる。途中までは見れるものだっただけに、終わらせ方がありきたりすぎて悪い意味での裏切りになってしまった、という感想です。あとやっぱ放送終了直後にゲームすぐリリースできないのダメだと思うんだよな。

X-ARM エクスアーム

正直に話すと、最初見たときには「また何か変なのが始まったな」と、実況するつもりも無かったのでチャンネルを変えてしまったのですが、ふと「これは実況民の大好物なのでは?」と気付き、皆さんのTwitterでの阿鼻叫喚を調味料に楽しませていただきました。

令和のこの時代にあまりにチープなCG、ちょっと違和感のある演出、原作ファンが嘆くほどのシナリオカット、そして妙に気合いの入ったアクションシーン……と特徴を挙げていくと枚挙に暇がありません。最低限シナリオは限界ギリギリまで切り詰めてなお破綻しないよう作られている……はずなんですが、前述の演出による描写不足も相まって、なんだかふわふわしたまま進んでいた気もします。声優陣の熱演と、比較的多めな解説セリフのおかげでなんとかなっていた節も。

アニメはもちろん原作の方も色々と気の毒な展開になっているそう。願わくば、本作を反面教師に今後の作品はしっかりした制作体制を整えた上で映像化してほしいですね。

のんのんびより のんすとっぷ

原作ともども、ついに終わってしまいました。過去のTVシリーズや劇場版も全てリアルタイムで体験してきていたので、8年という月日を実感して切なくなっています。

内容的には、今回は蛍や越谷姉妹の出番が気持ち少なく、その代わりれんちょんや新たに登場した人を含めたサブキャラの描写に力が入っていた気がします。同じ1年の中のどこか1日を切り取ったお話というスタイルをずっとループしていた本作にとって、作中時間を進めるのはメインの4人にはある意味不可能だったのかも。

始まりがあれば終わりがあるというのは、逆説的に終わりがあるから始まりが訪れることでもあります。のんのん村の新しい一年、変わらない日常がいつまでも続きますように。