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【#ブルリフT感想】それはひと夏のできごと

大変お待たせいたしました!!!『BLUE REFLECTION TIE/帝』の感想記事です!

もう軽く旬は過ぎている気がしてなりませんが、とにかく書かなくてはならないのだ。

元々はアニメ『RAY/澪』にハマったことから始まったブルリフとの出会い。発売してからちびちび進めて約1ヶ月。クリア時間は色々寄り道して44時間でした。

以下、感想。なお1周目のみです。2周目以降はぼちぼち……

この記事を書くのに時間がかかりすぎて内容に大幅なタイムラグがあるのは内緒だぞ。

※ネタバレ注意

あらすじ

いわゆる異世界転生的な導入から、話が進むにつれて伝統のセカイ系へ変化していくシナリオ構成。序盤こそ行き当たりばったりというか、話の流れが透けて見えるようなつくりだけど、中盤から変化球が混ざるようになり、それが全体の空気感にも影響を与えていく。

前作にあたる『幻』やアニメ『澪』、さらに今後リリースの『燦』のキャラも先行登場して話に絡むという集大成なのも相まって、各シリーズに思い入れがある人には響く描写もあると思う。というか本編の内容を見るに、本来は『燦』が先にあって『帝』で決着をつけるつもりだったんじゃ……? と思ったけれど、実際どうなんだろう。リリースされてみないと分からないや。

キャラクター

  • 星崎愛央

主人公。よくいる普通を自称する普通じゃない人。いかに本人の心情が反映されているとはいえ、武器が大鎌なのは主人公としてどうかと思うよ。装いもどことなくダーク寄り。加えて、(システムの影響も大きいが)女たらしデート魔である。ついでにオタク趣味。女たらしは他にもいるからいいとして(?)、作中で深刻な展開になって学校に戻ったと思ったらいそいそとデートを始めるさまは中々に狂っている。見方を変えれば常に明るく、分け隔てなく接する圧倒的なコミュ強というわけで、それが彼女を主人公たらしめる一環だとは思う。

一方で、特に終盤に顕著だが、抱え込みがちな部分があるように思えた。実際チームのリーダーという責任ある立場となり、相応しくあろうと立ち回れるカリスマ性は見事なものだけど、最後の場面、自分がどうなるか真実を知った上で誰にも言おうとしなかったのは意図していたのかな。そういった点で、世話焼きな詩帆や美弦とは相性が良さそう。

戦闘面においては、伝わる人に分かりやすく言うならシュルク。パーティの火力の一端を担いつつ、ボス戦にほぼ必須なスキルを備えている。ゲームに慣れた人はクリティカル攻撃をメインにしていく辺りもシュルクっぽい(ゼノブレイド側のネタバレ)。しかし万能というわけではなく、ちょっと攻撃に偏りがちなので、そこはこころなり詩帆なりにサポートしてもらう必要がある。怜那に指摘される危なっかしさっていうのはここかな……。また、ギアの段階によって使えるスキルが大きく異なるというのも欠点と言えるかもしれない。

  • 靭こころ

様々な場面において一番手を担う、ブルリフTにおけるファーストペンギン。反面、基本的に最初の方で出番が終わってしまいがち、という欠点もあるにはある。おっとりキャラと思いきや、得物が猟銃だったり変にサドっぽいところがある模様。またやけに食い意地が張っており、特に米に対する並々ならぬ熱意は必見。彼女のお願いは食料問題に関するものが多い。特に家庭環境に問題があったわけではなさそうだけど。

それと、感じさせる印象に対して身長は高めだったりする(愛央より高い)。ついでに作中でもおそらくトップのものをお持ちだが、偶然なのか意図的なのか、その辺りについて特に触れられることは無い。数年早くリリースされていたらそういうイベントもあったんだろうなぁ。欲しかったわけではないですが。

戦闘ではTIPSで語られる通り高火力キャラ……に見せかけて、屈指のデバッファー。怜那や詩帆が味方を強化するなら、こころは敵を弱体化させるサポーター。なので基本的にこころの方が強い。耐性さえなんとかすればやりたい放題なので、高難易度になるほど輝くキャラと言える。なのでそこまでする必要の無い通常プレイでは影が薄い存在。そもそもアイテムで状態異常を付与できるし。防御面は脆いものの、HPが随一の高さなので案外気にならなかったりする。

  • 宮内怜那

心配性なお姉さんキャラと言えば聞こえはいいけど、どちらかというと愛央や勇希が危なっかしいだけかも。

シナリオを進めれば進めるほど味が出てくるキャラ筆頭であり、ほとんどの人が序盤に感じた印象を中盤以降ひっくり返すことになると思う。簡単に人に弱みを見せたくないというところが、用意周到なところに繋がっているのかもしれない。裏を返せば、一度付け込めばズルズルとボロを出していく。ココロトープでの道中における彼女のリアクションは、なかなかに人間味があって良い。特に黒歴史の下り。

戦闘面は最も火力が低い代わりに手数が多く、かつノックダウン耐性に関するバフデバフを持つ。ノックダウン自体は非常に強力……なのだけど、仕様上敵の足を止めないことにはノックダウンさせようが無いし、戦闘が長引けば連続攻撃で強引に持ち込めたりもする。強敵相手のインファイトも、そもそも敵から仕掛けてくることも珍しくない。そのため最もレギュラー落ちしやすいキャラ。ぶっちゃけシナリオ先行で作られてそうだから性能はそこまで追求されなかったんだと思う。性格を反映してか、攻撃も守備もややどっちつかずな位置になってしまっているのがもったいなさを感じる。

  • 金城勇希

ムードメーカーにして狂言回しに近い立ち位置にいる非戦闘員。留守番役として家事周りを行ったり学校魔改造計画で新たな展開を推し進めたりと、しれっと大活躍している。ところできららや美弦の加入までは実質1人で学校に居残っていた時もあったと思うんだけど、よく気が狂わなかったな。1人の状況に慣れてるからとか言うと色々と可哀想なのでやめておく。

彼女に関する真相は中盤まで明らかにならないが、親愛度エピソード等の描写で薄々察せる部分は多かったと思う。それでも怜那との話は良い意味で衝撃的だったし、またその関係性について周囲が引くことも突っ込み過ぎることもしないというのが、本作の繊細に意識されたであろうバランス感覚を物語っている。

  • 春日詩帆

こころと並んで家庭的要素の強い穏やかな子……と思いきや、幼い頃はだいぶアグレッシブだった模様。友人がいじめられているのに反発していじめっ子に手を挙げ、それが原因で自身が引っ越すことになるって、どんだけ嫌味な設定だよ! と。スタッフに経験者でもいるのか?

とはいえキャラ造形的には比較的にオールラウンダーで、一周回って地味に感じてしまうことも。けど校内における選択肢イベントではなかなか共感できる答えを出してくることも多く、要するに素朴なのが良いんだと思う。いちおう、『燦』からの登場という扱いであるため、その当時がどう描かれるのかには期待。

戦闘では味方の強化を主題にするサポーター。特に回復周りはHP、エーテル、状態異常となんでもござれであり、彼女一人いるだけで戦闘の安定感はガラリと変わる。僅かながら敵を状態異常にするスキルも備えると、こちらでも器用万能といった具合。特にまともな回復スキルを持つのは彼女だけなので、サポーターを活用しないプレイングだと非常にお世話になる。

これはわりと変わった欠点だと思うのだけど、モーションが微妙に長い。そのせいで特に連続行動を仕掛けると一人だけなかなかチャージが再開せず、その上でサポート担当なので、必要な時に必要なことを行えないという困った状況になったりする。リアルタイム戦闘のRPGならではの面白い弱点だとは思う。

  • 白井日菜子

ブルリフシリーズの原点に位置する偉大なる初代主人公。残念ながら『幻』は未プレイなので彼女及びユズ・ライムに関する描写にはそこまで感情移入することはなかったのだけど、究極的には『澪』も『帝』も彼女たちがきっかけということで、そういった面から色々思うところはあった模様。立ち位置的には『MGS2』におけるスネークのような感じで、他者の視点から彼女を見るのは新鮮だという人もいたのかな?

戦闘では、元主人公という立場もあってか今作屈指の強キャラ。ギアを上げるほど行動回数が増え、コンボ数が増えるほどダメージが高くなるシステムにぴったりハマったスキルを持つ、スペックだけで言えば非の打ち所がない性能。

弱点は耐久の低さと攻撃属性の幅の狭さ、そしてそもそもそんなコンボ繋がる敵がボス以外にほぼいないという点。耐久に関してはアタッカーの定めということで置いておくとして、2番目は基本攻撃スキルは2〜3属性ほどを備えるのに対し、彼女はほぼ1属性のみ。属性の通り自体は悪くないが、きちんと下調べしてぶつけないと速攻でサポートに引っこめることになる。さらに重要なのが3番目で、敵がそんなに固くないので本領発揮する前に敵が死ぬという強いのか弱いのかよく分からない欠点を持つ。そんなわけで、こころ共々ボスや高難易度向きの性能だと思う。

  • 久野きらら

詩帆ともども『燦』で登場する予定の非プレイアブルキャラ。神の声が聞こえるという特殊な生い立ちで、加えて村育ちという狭い社会の中で苦労してきた子です。

言動は独特なものの性格自体は素直で、3人目となるオタク気質でもある。愛央とは波長が合うらしく、個人イベント等では弄んだり弄ばれたりと良好な関係の模様。

非戦闘員ながら、立場的にはなかなか重要なキャラ。お留守番の間は料理班の手伝いをするなどわりと意欲的。個人スキルがクラフトアイテムの入手数を確率で増加させるもので、節約したい時には極めて助けられる。資材集め面倒臭いし。

  • 平原陽桜莉

自分にとっては原点となるアニメ『澪』主人公。今回は彼女のみリフレクターに変身可能。

時系列的には『澪』の事件が解決してからさらにもうしばらく経った後のようで、少なくとも美弦と再会している。大変残念なことに瑠夏や百、あるいは仁菜といったアニメメンバーについてはほぼ一切言及されない。過去の経験として語ることは時折あるが、直接名前を呼ぶことは無い。名前を言ってはいけないのかな。まあ記憶を一部失ってしまっているわけだし、多少は仕方ないのかもしれない。

ゲーム内では持ち前のコミュ力からすぐに周囲と馴染み、不自由無く過ごせている模様。来たのが瑠夏や仁菜じゃなくてよかった。アニメ中ではナイーブになることもあったが、『帝』の時点で言わば「恐怖を乗り越えた花京院」状態なので、めちゃくちゃ強メンタルになっている。そんなわけで以前にも増して自分より他人のことを気にかけており、かつて敵だった詩でさえもその対象に。愛央に次いで節操無し。

戦闘では、特に短期決戦が求められるザコ戦で輝く性能。怜那の1.5倍くらいの攻撃力を持ち、初期状態で2属性攻撃が可能と、スピードアタッカー的な側面を持つ。万一弱点を突けない敵であっても耐性低下スキルを備えるため強引に弱点を突けるやりすぎると一撃で5ケタ叩き出しかねない。さらに弱点を突くと回復するという強烈なスキルを持つので、火力特化にも関わらず一人だけピンピンしてたりする。戦闘狂の疑いがある。

反面、燃費の悪さが目立つ。長期戦になればなるほどこちらが有利という変わったシステムにおいて、ギアが上がりにくいという致命的な弱点を持ち、要するに手数が伸びない。コンボ数を増やしづらい代わりに素の火力が高いという意味で、日菜子とは真逆の存在となる。それでも相当な強キャラであり、『澪』がいかに狂った環境だったかがよく分かる。

  • 平原美弦

妹ともども参戦。『澪』本編内においては最強格のリフレクターだったが、今回はNPC。というのも、終盤に語られるがアニメで紫乃救出の際に自身のフラグメントを犠牲にした関係でマジで消えたらしく(バリアを破壊するシーンかな)、その後陽桜莉のフラグメントを借りる形で復活したとのこと。そんな経緯もあって今回は変身できない。残念。

一方で『澪』で捻れ曲がってしまった姉妹関係が修復されたため、だいぶシスコンを拗らせている。口を開けば陽桜莉のことを話す。そのせいで陽桜莉側から距離を置かれてショックを受けるなど、若干ネタキャラっぽくなっている。そこにつけ込む愛央は外道と専らの評判。

これは余談だけど、個人的に3Dモデルの出来がめちゃくちゃ良いと思う。元々個性豊かなメンバー揃いだけど、とりわけ美弦はあらゆる角度から見て綺麗に映っている気がする。次点で勇希。

  • 駒川詩

みんな大好きマゾっ子ウタちゃん。2021年TVアニメ最優秀助演女優賞。……なのだが、今回は記憶喪失になる関係でまさかの綺麗な詩(公式表現)として登場する。挑発的な言動は鳴りを潜め、穏やかというか若干臆病まである控えめな女の子となる。案の定というか主に日頃の行いのせいで平原姉妹を始め周囲からは警戒されまくりだが、唯一愛央だけは先入観無く触れ合い、彼女も心を許す。他がほぼCP固定化されているため愛央の相手は詩だという説がある。

元より性格が歪む原因が原因なため、記憶を取り戻す過程で様々な障害が訪れる。結論から言うと本来の彼女に戻るのだが、それ周りのシーンは特に『澪』視聴者は必見。しかし最終的には主にデートイベントの関係で言動自体は記憶を失った状態のものに。これについては、彼女のココロトープクリア後に加筆されるプロフィールの解釈が一番良いものだと思う。

舞台

  • 学校

なんだかんだ一番いることになる学校。1Fの中庭から屋上、イベント以外で出番の無い体育館すらしっかり作ってあって中々にリアル。

キャラが新たに現れたり、後述する学校開発でオブジェクトが追加されるのもあって、後半になるほど賑やかになっていく。ちなみに愛央たちが寝床にする教室は、キャラや設備の追加で小物が増えていくという小ネタがある。

不思議なことだけど、そんな学校で過ごしているうちに安心感や愛着を覚えるようになる。大人になったゆえのノスタルジーかもしれないけど。

  • ココロトープ
  • こころのココロトープ

最初のココロトープでいきなりダジャレかよ! と突っ込まざるを得ない人選。舞台が夏なのにちょっと秋っぽい赤みが特徴的。他のココロトープも多くは故郷を参照している中、特に廃屋や岩場など、退廃的なイメージが目立つ。親が猟師だし、山育ちなんだろう。

  • 詩帆のココロトープ

海に浮かぶ駅が印象的なココロトープ。前半は駅を中心に据えた線路上を辿り、後半は彼女の記憶から生まれた「都会」を巡る。

プレイ上では鉄骨渡り(カイジではない)が多く、また道幅が狭いため敵との戦闘を避けづらい。バックアタックもしづらいため、探索する際には面倒臭さが勝る。

  • 日菜子のココロトープ

草原→荒地→虹のかかる道と、『幻』までの彼女の精神を具現化したような雰囲気の変化が特徴。第1ステージではバレエの彫像が多く配置されているが、それについて後々触れられるのが少し面白かった記憶。

  • 怜那のココロトープ

全体に渡って「灯台」が中心となるココロトープ。海辺→山道→高台と変化が加わり、この辺りから道中も長くなり始める。ショートカットとかないんか! と言いたくなる……。

中盤で再び訪れる際に、彼女の黒歴史を掘り返す場面があるのだが、そのさらに後、探索を重ねた先で手に入るドロップアイテム……これ以上はよしたほうがいい気がする。アイテム開発等に特に用いられないという辺りがまた「触れてはいけない」空気を醸し出していて笑える(笑えない)。

  • きららのココロトープ

村祭りをモチーフにしたココロトープ。後半はいかにも古い神社といった出立ちで、おどろおどろしい空気感の作り方には恐れ入る。構造としては入り組んでおり、ある程度ルート分岐もできるようになっている。体験版で訪れることになるので既視感を覚える人もいるはず。

町内放送に使われるSEがBGMに採用されているが、探索中はそれをひたすら聴かされることになる。和風ホラーな雰囲気も相まって、軽くトラウマになる。

  • 平原姉妹のココロトープ

アニメ視聴者には見覚えがあるような無いような、公園を舞台としたココロトープ。もちろん教会もある。1ステージ目が長い代わりに他より1ステージ少ないという特徴がある。2ステージ目はまるでポケモンジムのようにスイッチ切替による足場操作を必要とする。若干道が分かりづらい。

  • 勇希のココロトープ

とある事情により、前半は病院が舞台となる。そのためエリア切替が非常に多く、個室を行ったり来たりという変わった探索を行うことに。

後半はどこか見覚えのある景色が広がって……キャラ解説でも書いたが、この辺りは大元の「ココロトープ」の設定を上手く利用していてとても印象的。ぜひ自分の目で確かめてほしい。

  • ユズ・ライムのココロトープ

4つのエリアをそれぞれ制覇するタイプのココロトープ……というよりはダンジョン。いずれも入り組んだ地形や多くの敵が徘徊しており、戦闘は免れない。ハッキリ言って怠い。

後述する「お願い」でのステルスミッションはあまりの理不尽さに気が狂うかと思った。

  • 詩のココロトープ

彼女の経歴とは結びつかない、ひまわり畑の田舎町が舞台。詩自身も忘れていたであろう幼き日の記憶を取り戻すステージ。

4つのエリアに分かれており、そのいずれも全ココロトープで最大級の広さを誇る。その上シナリオ中では何度か訪れることになり、イベントであっちこっちへ振り回される。面倒臭い。

  • 愛央のココロトープ

色々あって愛央にはココロトープが存在しないのだが、終盤で産み出されることになる。ゲーム冒頭での愛央の通学路をそのままマップにした、という感じ。

ちなみにココロトープに登場する敵は、その人の心の歪みなどが具現化したものという設定があるが、愛央のココロトープは急造ゆえか敵が一切登場しない。それはそれで若干の不気味さを感じる……。

  • 最終ステージ

歯車が多分に用いられた、非現実的なステージ。ギミックは比較的シンプルで、ここまで来ると面倒な敵との戦闘をいかに避けるかという方向にシフトしていく気がする。幸いマップ自体は広いので振り切るのは簡単だけど、逃げ回った先で帰れなくなるなんてことは無いように。

システム

  • 戦闘

本作の肝となる戦闘システム。ざっくり言うとFFシリーズのATBをベースにしたもので、そこに「ギア」の要素を加えることで、RPGとしては珍しい「戦闘が長引くほど有利になる」面白い構造になっている。

キャラクターごと、時間経過で貯まるエーテルを消費することで各コマンドを実行。コマンドを実行することでギアが上がり、ギアが上がるとエーテルの時間辺りのチャージ量および最大チャージ量が増加していく、というもの。また、一定以上ギアが上がるとリフレクターに変身! 華々しい見た目と共により強化される。

このシステムで面白いのは「チャージしたエーテル量に応じて連続行動が可能」な点と「攻撃スキルではギアが上がりやすく、補助スキルではギアは上がりにくい」という点。昨今のRPGに多い「バフをかけて一気に倒し切る」戦法ではなかなかギアを上げられず、エーテルを貯めて攻撃スキルを連続発動! という状況に持っていきにくい。

また、「未行動の状態で連続攻撃を受けると、ノックダウンして行動できなくなる&ギアがリセットされる」というところも特徴的。ノックダウンは基本的に敵側に与えるものだが、味方もノックダウンする。つまるところ、「ラッシュのためにエーテルをチャージしていたら、敵の攻撃でノックダウンしてしまい、一転してピンチに陥る」という状況がありえる。一度でも行動すればノックダウン値はリセットされるため、あまり攻撃を受けている状況では先んじて行動した方が結果的に得かもしれない。そして前述したように防御主体ではギアが上がらないため火力を出せない。そして極め付けは敵もギアが上がる。この攻防のジレンマにより、特にボス戦では独特の緊張感を保った戦闘が行える。

……早い話、「やられる前にやる」システムであり、また先述したようにボス以外での長期戦が基本無いため、このバトルシステムの出来の良さは意外と注目されにくいかもしれない。が、プレイスタイルによっては非常に遊びごたえのある、奥深いシステムだと思う。個人的にはシナリオの次に評価している部分だったりする。

  • 学校開発

本作のもう一つの重要システム。拠点となる学校に設備を配置することで、戦闘等において有利な効果を得ることができる。関連する設備を複数配置するとボーナスが発動したり、設置によって後述するデータイベントが発生したり、またそもそもメインストーリーを進めるのに必須だったりと、避けては通れない要素。

これが妙にバリエーション豊かで文化祭のような屋台はもちろん、外で過ごす憩いの場、仮にもサバイバルを便利にするための生活インフラ、果てはロケットまで作ってしまう。別に飛ぶわけではないけど。JKの知恵と技術とこの世界の資材では到底無理だろみたいなものでも作れちゃう。そう、ブルリフならね。

先述したように、多くの施設が立ち並ぶと不思議と賑やかに感じるもの。配置数や箇所には制限があるので理想的な学校にするのはなかなか難しいが、それはそれでやりごたえがある。

  • デート

女の子同士だろうと構わず「デート」表記。そういうところだぞ。プレイヤーである愛央が、各キャラクター達と校内を歩き回ってイベントを起こすというもの。目的地はだいたい↑で作った設備であることが多い。

とにかくこのデートイベントにおけるテキスト量が尋常ではなく、またいろいろシステムにも関わる要素のため、下手をするとプレイ時間の半分近くはデートしていたみたいなことになりかねない。特に加入が遅い平原姉妹や詩は、それまでに開発した施設も含めてデートすることになるのでなかなか消化が終わらない(被害者)。

そのぶん、愛央との1対1での会話は砕けた雰囲気で行われ、集団生活であるメインストーリーでは見えなかった一面も見えてくることがある。キャラへの解像度を深める重要な要素である。そして愛央はプレイヤーから女たらしの称号を授かることになる。

  • お願い

いわばクエスト。特定のアイテムを納品するもの、特定の敵を討伐するもの、ココロトープの指定地点まで行くものの大きく分けて3つ。

メインシナリオや上述のデートイベントが充実しているぶん、こちらは幾分シンプル。納品に関してはお願いを受けた時点で集まっていたりもする。

ただし一つ、ステルスミッションだけは評価しがたいところ。その名の通り、敵に見つからないようにしながら目的地を目指すのだけれど、ここだけカプコンが作ったのか? と思うほど嫌らしさに満ちている。迂回せざるを得ない敵配置、巡回ルートが敵それぞれで同期されていないためどうやっても通れないタイミングがある、見つかるとチェックポイントから全てやり直し、そもそもステルスモードの画面が見づらいと言うように、この部分は難点だらけである。

ちなみに報酬はこれといって特殊なものは少なく、TPが貯まるぐらい。後半になるほど旨味が減る。

  • フラグメント&タレント

いわゆる装飾品とパッシブスキル。フラグメントはデートで、タレントはそれに加えてお願いをクリアすることで入手可能。

TP(タレントポイント)を貯めることで必殺技を放てるようになったり、より上位のスキルを習得可能になったり。またフラグメントをより多く装備するのにも必要。ちなみに1周で最大までは上がらない仕様らしい。

そしてフラグメント。こちらはデートイベントの選択肢で入手フラグメントが変わる。というわけでこちらも1周ではコンプ不可能。こういう形で2周目要素を出すとは……。

エーテル回復速度上昇」とか「回避率上昇」とか、あると無いとでは戦闘のバランスがかなり変わってくる大事な要素。後半になると最初からリフレクター(=ギアが一定まで高まっている)状態で始められるようになったりする。

  • データベース

文字通り。TIPSやチュートリアルも格納されている。

驚くべきは敵キャラクターや入手したアイテム、マップロケーションに先述したフラグメントに至るまで、一つ一つに登場人物の所感が記されているところ。要するに、ゲーム内のほぼ全コンテンツにフレーバーテキストが用意されている。ライターの仕事量を考えるとゾッとする。ポケモン図鑑みたいなものと言えばそうなんだけど……。

総評

おかげさまで、記事を出すのに半年近く掛かりました。それぐらいボリュームがあるってことで……ではなく、ただ遅筆なだけです。というか目を逸らしていた部分がある。

それはともかく、単純な1作のRPGとしての完成度は非常に高いです。『幻』も『澪』も一応スルーしても問題無い範囲なので。びっくりするのはこの記事を書き上げた段階で未だに『燦』の話が出てきてないことですけど……。

PS4でもSwitchでもプレイ感にそう大差は無い模様。PCでも遊べるので、骨太RPGがやりたい人にはオススメです。