Saltの思うこと

思ったことを書いていけたらいいなあ

2020夏アニメ感想

気付いたら10月になっており、9月の記事はFEHに関連したもの以外存在しないという状態になってしまいました。何らかのネタを作れるよう努力したいです。

そんなわけで2020夏アニメの感想記事です。今期は1日に1〜2本見るぐらいという少なさだったので、特例ぎみに再放送アニメの感想も記しています。

バキ 大擂台賽編

『だいらいたいさい』だそうです。初っ端から顔面剥いだり金的狙ったり人間加湿器になったり金的狙ったり金的狙ったりでやりたい放題して楽しかったですね。やはり癒しアニメ。

今シリーズの見どころはオリバや勇次郎の本気の戦闘でしょうか。烈や刃牙は死刑囚編でも戦っていたので。特に勇次郎と郭海皇の試合は、まさに頂上決戦とも言うべき迫力に満ちた映像でした。

一方で後半はマホメドJr.のいじめ理不尽にも取れる仕打ちがメインになりました。それにしても話数割いたわりに壮大な前フリでしかなかったのどうにかならんかったのか……一撃(二撃)で仕留められてあと放置って。ともかく、続編も作って親子喧嘩はキッチリ完結させるそうなので、引き続き期待です。

ところで。ネットで有名な「そんなふうに考えていた時期が、俺にもありました」とか「競うな、持ち味をイカせッッ」とかのセリフが多く登場したのも印象的でした。ワードセンスが光る作品はセリフ一つ取っても楽しくて、実況しがいがありますね。

放課後ていぼう日誌

前期の延期から無事復活。内容はというと昨今流行りの趣味モノ。その中でも釣りテーマのものは少なかったかも。基礎的な知識から文明の利器を用いた現代的な技術まで、(たぶん)今から使える釣りテクニックとしての教材にもいいんじゃなかろうか。

釣りの題材も海釣りはもちろん、潮干狩りや川釣りと幅広く、登場人物も多くはないが個性立っていて、延期をものともせず作品の力で最後まで引っ張ることが出来たと思います。特に最後のキス釣りは、自分の力でやり方を調べ、工夫し、成果を得るという、一つの物事に打ち込む人みんなが共感できる趣味の楽しさを押し出していましたね。肯定的で実に良いと思います。

Re:ゼロから始める異世界生活

だいぶ時を経ての第2期。正直話の流れとか忘れたも同然なんですが特に振り返ってくれることは無く。まあこれは再放送見てなかった自分が悪いですね。

で、この作品は1期の頃から相も変わらず、せっかくタイアップしてもらったOPEDを流す気が見られなかったり、果てはCMや提供表記すら削ってまで本編を描いていました。それが良いか悪いか聞かれると、個人的にはシャクです。一分一秒の会話の「間」を作るために視聴者の小休止を挟むつもりがないなら始めから劇場でやっててほしい……と思わなくはない。

OPEDやCMをカットした構成は他のアニメでも見られますが、アレは大事な回でやるからこそ演出として成立するのであって、毎回のようにやられてしまってはただ尺調整を放棄しているだけなのでは? と邪推してしまいます。

苦言が多くなりました、来年1月から後半もあるそうなのでコソコソ見続けます。まあ前半全くと言っていいほど話進んでねえんだけどな。

富豪刑事 Balance:UNLIMITED

同じく前期から復活。話数的には早期撤退だったけどそもそも始まるのが遅かったのもあり、ノイタミナ枠は計画大崩れしてそうでちょっと気の毒。

前半と後半で大きく話の作りが変わり、前半は1話完結型、そこで仕込んだ伏線を回収する長編が後半、といった感じですね。正直なところ、後半はごく普通?の刑事ドラマに寄っていた感じがあったので、個人的には単話で好き放題する前半の方が好みでしたね。

映像作りはさすがのノイタミナ&Cloverworksなだけあって、延期の影響があるのか無いのか分からない高品質を維持していました。(たぶんアフレコの方でしょう)

宇崎ちゃんは遊びたい!

元はTwitter発のコンテンツでいいんでしたっけ。印象としては今期キラータイトル。たまーに見かけるOPに歌詞が表示されるタイプのアニメだったり、わりと一般受けも狙ってそうな印象を受けたのですが如何なんでしょう。まあ件のアレは皮肉にも宣伝になっただろうからな……。

内容は昨今珍しいぐらいの王道ラブコメというか。「ウザい後輩」がエッセンスのはずなんですが、結局ただイチャコラする様を見ているだけな気も。ただそのぶん縛り自体は緩く、唐突なアニオリ鳥取コラボを始め現場は楽しく作ってたんだろうなと感じられました。

なんやかんやで続編も決まりましたし、人気キャラの出番がまだまだ少ないですから今後に期待ですね。

ド級編隊エグゼロス

そんなわけでこの辺りは『宇崎ちゃん』と合わせておフェミな方々のアンテナが怖い作品群。しかも同じ曜日に集ってるんですよこいつら。シンクロニシティも大概にしてほしいですね。しかもここに関しては主演の松岡禎丞氏が後ろとどっ被りしてしまっているという。なんなんだ。

さてさて、この手の少年漫画的お色気要素というのは最早テンプレ化しているわけで、見ている側としては「そうはならんやろ」とツッコミながら楽しむのが正しいのかな、と思ってます。だって無理があるし……。

そうすると結局シナリオの濃さで魅せていく方向になりますが、しかしそこにはお色気との二律背反が! セクシャルが過ぎると話が頭に入らないし、お堅い話だとお色気はただのシュールギャグになってしまう。この辺りはもうどうしようもないのでしょうか。本作はVS悪の怪人をテーマにしていますが、怪人たちはあっさり撃破されることも少なくなく、どちらに本腰を置いて見るべきか決められないまま走り切ってしまいました。そんなワケであんまり入り込めていなかったです。もう少し無邪気に楽しめる心を取り戻したい。

食戟のソーマ 豪ノ皿

またまた復活組。話数を見てみると意外と早々に撤退したんだなという印象です。

たしか餐か神ノ皿の辺りから原作勢によって「この後からつまらなくなる」と常々言い聞かされてきましたが、豪に関してはちょっと分からなくもないかな? といった程度。というのも裏料理界が色んな意味でギャグみたいな連中なせいで今までの鎬を削る食戟からは一歩外れた場所に行ってしまい、物語の緊張感の置き方が変わってるんですよね。それでもお約束は守りつつ、短い尺の中でスピーディに展開していくのは、客を飽きさせないシェフの工夫といったところでしょうか。とはいえ、ダイジェストで消化されたために必要性を感じられなかったトーナメントだったり、グルメ漫画にありがちな強敵描写が過ぎてかえって噛ませ臭のする敵集団だったり、もう少しやりようはあったかなーという印象。尺の詰め方はテンポ良く感じることも、早すぎてあっさり終わったように感じることも。

ともかく、なんだかんだ言ってシリーズはこれで完結。第5期まで続きましたが、制作の皆さんは本当にお疲れ様でした。

Lapis Re:LiGHTs

存在自体は前から把握していたのですが、正式なタイトルのつづりを見て「Re枠2つあんじゃん」とか思いました。実はもう一個あるんですけど。

何はさておきキャラが多い。と言っても精々10か20と言ったところで300人を超えるアイマスとか800種を超えるポケモンをやっている身で何をご冗談をと思いますが、徳川家が覚えられないのと同じ理屈です。ましてカタカナの人名だから全然。ホントに。中の人も若手が多いからそこで把握するのもまた難しい。年寄りには難しい。最後まで見て覚えられたのは片手で数えられる程度です。やる気の問題もある。

そして放送時間が早い。22:00って。おかげさまで他の予定と都合がつかず視聴を諦めざるを得ないことが何度かありました。そんなワケでストーリーを語るような境地には至っていないです。作画は安定していてよかったです。

魔王学院の不適合者 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜

長いわ。普通に伝えるぶんには『魔王学院』とかで済む話なんですけど、こうしてタイトルを列挙するとどうしてもこうなる。この時点で若干やる気は削がれる。一応、原作挿絵が『刀使』でお馴染みのしずまさんだったので、アニメ化決定の辺りから把握はしていました。

いつもの「なろう」出身なだけあって主人公無双が止まらない作品ですが、見ているとどういうわけか不快感が少ない。いやそれどころか作中において主人公は最強でいて当然のような存在であり、それを謙遜するどころかむしろ尊大な態度を取りつつ、一方で気遣いのできる一面も見せているので、とにかく強さに嫌味が無いのが特徴です。

自分はキャラへの感情移入とかはあまりしない人間で第三者視点で見ることがほとんどなのですが、その視点にピッタリハマるようなキャラ造形でした。敵役がとにかく狡猾だったり差別的だったりヘイトを買うタイプのキャラ揃いなため、どちらかというと『盾の勇者』的な見方が近いと思います。それを圧倒的な力を持って蹂躙するのがどれほど楽しいか。

もちろん、そこに至るまで犠牲になった仲間たちだとか報われない過去だとか、そういったものはしっかり描いてくれるのでカタルシスも相応。やり方が派手すぎてギャグになってしまっている辺りは、古くから続く伝統ですね。

八月のシンデレラナイン Re:fine

そんなわけで、今期見ていたうち実に3作品が「Re:」とタイトルに冠していました。みんなそんなに好きか。

このアニメですら一年以上前という事実に軽くビビっていますが、今回の再放送はリファインの名の通り、作画修正等の施されたいわゆるパッケージ版のものになります。ちなみにこの名称は、原作ゲームで過去に開催したイベントを改修・復刻した際に付けられるものに倣っています。

昨今、再放送自体は珍しくないですが、その中でも新しいアニメであるにも関わらず修正版を流してくれるというのはありがたいですね。本作は何より作画の残念さが目立った作品なので願ったり叶ったりといった感じ。

内容そのものに大きな変更は無いため、本放送時に書いた感想から追加で言うことはそんなにないのですが、放送日が偶然にも8月9日と重なったのは持ってるなあと思いました。しかも6話だし。13話も期待です。

ハナヤマタ

まさかまさか、まさかの再放送。avex的には全話見Blu-rayシリーズの宣伝第1弾といったところでしょうが、奇しくも『おちフル』が延期になったため、同作者によるアニメのクール跨ぎリレーが完成するというファンにとってはこれ以上無いサプライズになりました。枠内CMでおちフルの宣伝もあったので、延期都合によるものか、avexのタイミングが偶然良かったのか真相は闇の中です。

さてさて、本放送は実に6年前になるわけですが、当時より実況が盛り上がっていたような気がしなくもなく。というのも、メインの声優陣……田中美海さん、奥野香耶さん、大坪由佳さんがTwitterを始められていたのが大きいんじゃないでしょうか。このお三方、完全に実況慣れしているんですよね。変に語彙力があるし。あとは、言わずもがな暴走状態にあったアニメ公式Twitterの功績も大きいでしょう。圧倒的な画質ツイートでキャプ画実況民を殴り飛ばす様はまさに職権濫用。

内容についてはもう僕自身見るのが6〜7回目とかになるので今さら語るまでもないと思うのですが、せっかくなので書いていきます。

舞台は鎌倉。引っ込み思案なメルヘン少女、関谷なるが転校生であるハナ・N・フォンテーンスタンドと出会い、よさこいを通じて自分を変えていく、王道な成長物語ですね。見た人がみんな良いって言ってるんですがまあ1話が良い。2話以降と比べても明らかに演出面に力が入ってます。本作を通してテーマとして扱われているものに「一歩を踏み出す勇気」があるのですが、それを如実に押し出した1話でした。

そんな1話でハナと協力することになるのですが、それに納得いかないのがなるの幼馴染にしてしきりに古参アピールしてくる彼氏面のレズこと笹目ヤヤ。ジェラシー・ローズ(直球)。なるとの付き合いを経て行動理念を確立した彼女にとって、なるが弱気でいてくれるからこそ、褒めちぎられる自分の肯定感に繋がるため、そこに手出しをされちゃ(=なるが自立してしまっては)たまったものじゃないんです。「私のなる」発言大好き。というわけで強引にハナを引きずり離そうとするのですが、しかし実は芯の強いなるはヤヤの態度に対して怒り、喧嘩してしまいます。お互い望むところはそこではないため改めてなるの意志を尊重・再確認してヤヤが折れる形で和解するのが2話なわけですが、2話のEDってイントロが通常と異なるんですよ。具体的には原曲のCメロ部分を使ってるんですが、この特殊イントロver.が使われるのは2話と最終話の2回のみ。個人的には「作中の初ステージ」と「アニメ中のラストステージ」の回にのみ使われているものだと解釈しています。いや良いよねこの特殊イントロ。ピアノソロってのが実に良い。自分はどうしても最終話の方を連想しちゃうんですが、2話もスケールが友人同士の関係という点に収束しているので、良い意味で「きらら」っぽい話だと思います。

続く3話は後々頼れるアニキやサリーちゃん先生など大人組の紹介をしつつ、前回から引き継いだハナとヤヤの和解編ですね。なんだかんだ付き合ってあげるヤヤの人の良さが表れている回です。なるとの信頼関係を失いたくないばかりに振り回されることを決めたのに、結果として信頼を失う(?)のは何とも不憫ですね。全体を通してカッコつけたがりなのにイマイチ決まらないヤヤは、ヒールっぽい立ち回りでありつつも嫌いになれない子です。あとでもう一度担当回あるので残りはそっちで。

そして4話。キャスト陣からも人気の高いタミちゃん回ですね。合言葉は白レースにリボン! 「自分の幸せ」と「自分が与える周囲の幸せ」の狭間で揺れ動くのは実に思春期的というか、普遍的なところです。

とはいえこの回は個人的に、ちょっと台詞回しが芝居がかってるなーというのと、全体的に詰め込んでるな! という気持ちが先に出てしまうのでなかなか純真で見れないのが悔しいところ。ただ、最終的にタミが出した結論は他ならぬ作品のテーマである「一歩を踏み出す勇気」と、そこから来る「アイデンティティの確立」であり、それを乗り越えた彼女は頼れるお姉さんとして活躍してくれます。よさこい部にはこの後色々と問題が付き纏う中、一番早く解決したのはタミなんですよね。後顧の憂いが無いってのは良いことだ。この先に立ちはだかるのはみんな面倒な女だぞ!

そこからなんだかんだ言ってヤヤも名前を貸してくれたことで、ようやく成立したよさこい部の活動が本格的に始まるのが5話です。それにしても押しに弱すぎるなこの女。この部の成立に関しても今後一悶着あるわけですが、それの決着とメインメンバーの集結が同時に行われるってのは話の圧縮ぐあいがちょうどいいですよね。まぁそれは後でやるので割愛。

本物のよさこいを目の当たりにして、嫌々着いてきたヤヤでさえも多少なり心を動かされるものがあり、なるが2回も恥ずかしいセリフを放つわけですが、要するに4話に続き「どうしてよさこいを踊るのか?」「そもそも数ある中からなぜよさこいなのか?」という疑問に対して、部としての答えを出し、アイデンティティを確立させた点で、全体から見れば地味かもしれませんが、大事な回だなと思います。文字通り「ファースト・ステップ」ですね。

ところで自分はヤヤの字が汚い設定がけっこう好きです。世界のどこに署名としてサインを書く人間がいるんだ(どう見てもカカなのもポイント)。アイキャッチでは書記扱いされていますが、これも後々活かされていて、死に設定の多い作品としては珍しくちゃんと機能してるんですよね。こいつヤヤの話しかしないな。ところで見るたびに疑問に思うんだが、ヤヤとタミの関係はいわば「友達の友達」みたいなところだけど、タミの口ぶりからしてこの二人でもいくらか交流はあったみたいなんですよね。お互いの回想に全く姿を現さないのでちょっと違和感だけど。

続く6話は、花彩よさこい祭に備えた土台作りがメインの回です。1つのステージを踊るだけでも衣装、楽曲、振付といった多くの要素が立ちはだかるわけですが、過去にアニキが言っていたように「その試行錯誤の過程こそが楽しい」のであって、なる達は苦悩はしつつも、文句を言うことは無いんですよね。偉い子だ。でもこの時点でサリーちゃんは煩悩だらけ。

そんな中、とあるきっかけでクラスメイトを観客に、よさこいを披露する場面。ハナの熱烈な勧誘は奇特な目で見られていたものの、結果として知名度向上には一役買っていたことが判明する大事なシーンです。技術的にはまだまだ拙いけれど、評価を得るには十分すぎる努力を重ねてきたわけですから。しかしその一方で、努力が必ずしも報われる世界ということはなく、ヤヤが組んでいたバンドは……。

そこを引きに7話へ繋がります。2話で一旦は和解したなるとヤヤですが、今度はバンドの解散という形でヤヤのアイデンティティが崩れ去ってしまうわけですね。よさこい部が順調に足場を整えていく一方で、バンドは圧倒的な速度で瓦解。

ヤヤにとってバンドは自ら作り出した居場所の一つであり、なるの存在と同じくらい今の自分を形作るきっかけとなったもの。それを失われては、嫌々やるハメになったとはいえ、よさこいにも身は入りません。なるとハナはその悩み解決に協力しようと親切心で乗り込んでくるわけですが、無駄にプライドの高いヤヤにとってこの同情はむしろ逆撫でするに十分なものでした。それで強い言葉を使って無理やりにでも縁を切ってしまうのですが、次のシーンでは謝罪をしようとする素振りが。要するにヤヤ自身「それはそれ、これはこれ」の考え方をすべきだったと自覚していて、なんとか和解の道を探ろうとしているんですね。

とはいえ言ってしまった手前、きっぱり謝るというのもなんだか歯切れが悪く、避けがちになってしまいました。実際に悪いのはヤヤの方ですが、無神経に関わろうとしたなるとハナにも一定の責任はあります。そんな彼女たちが考えた、真正面からヤヤと向き合うための方法とは、大衆の前で貶める発言をして怒りを誘い屋上に引きずり出すというそんなんアリかよ的やり方。対ヤヤなら特効なんでしょうけど。

そうして互いの思いを吐露した結果、意地っ張りのヤヤが一連の非は自身にあることや、バンドとよさこい部を対比して一方的に羨んでいたことを認め、ようやく素直になれるのでした。ここからの吹っ切れたヤヤは、純粋にステータスが高くて頼りになるいい子です。タミに次いで自己の内面と向き合えた彼女は、これ以降何のしがらみもなく伸びのびしているので良いことだなぁと思います。原作だとアニメ範囲の後はランとかにくきゅう残党とか大体ヤヤが残した禍根を中心に話が回るんですけどね。

そして8話でようやくデパートのイベントが行われます。そこに至るまで紆余曲折はあったものの、一番大きいのはマチとサリーちゃんの姉妹発覚かな? CDを忘れる大戦犯をやらかした姉の尻拭いをする妹ですが、少なくともサリーちゃんは実家を出ているわけで、それを考えると合鍵を持ってたんですかね。この辺りからも未練が透けて見えるというか。

なんやかんやあっていざ披露! ……と言いたいところですが、このシーンは作中でも特に目を背けたくなるシーンでもあります。洗練されていないのもありますが、ここまで上手く回っていたはずの歯車がどんどん狂っていく様が見ていて辛くて。この中で失敗した様子が無いのがヤヤだけ、というのがまた何とも言えないですね。なるに関しては過去のトラウマと直面することになる一大イベントですし、よりにもよってそれが次回への引きになるというのが本当にタチが悪い。その上サブタイはなんだ、シスコンって。緊張感って言葉知ってるか? いや、緊張感に満ちた話なんだけども。

そんな続きの9話。マチにマったマチ回。と、その前にステージでの失敗を取り戻すパートがちょこっと。この解決はあれほど辛辣に描いたわりに思ったよりアッサリ終わった印象ですが、それだけなるのよさこい部メンバーに対する信頼が固いものになっているのではないかと。

さて、本題であるマチとサリーちゃんの確執ですね。幼少の頃から慕い続けてた姉が突然心変わりして自分を見捨てられたように感じてしまうのは無理もないと思います。だからと言って、その認識を周りの人にも強要するのは良くないことですけどね。八つ当たりにも近い態度を恐らく5〜6年ほど向け続けているのはさすがに両親も何かしてやろうと思わなくはないのですが、まあ忙しいんでしょう。医者だし。

そんなワケでひとりでに増幅されていった憎悪のような感情を紐解く必要があるのですが、当の姉はマチを嫌うどころか陰ながら想い続けていたという事実。ちょっと語弊がありますね。後ろめたさを感じていた、が正しいでしょうか。とにかく、結果としてサリーちゃんは正規の教員、名実ともによさこい部の顧問となり、妹とのわだかまりも含めて一気に問題が解決するのは、ここまで引っ張っただけあってホッとしますね。それにしても直球なサブタイトルで、果たしてどっちのことを言ってるのかな? と勘ぐる人もいると思いますが、自分はどっちもだと思います。マチは姉の髪型を真似していたくらいだし、サリーちゃんもマチがいることを知って由比浜学園に配属されてますからね。

続く10話は花彩祭りに繋げるためのアニオリ回。ちょっとだけサービスもあります。

マチを新たに加え、ようやくタイトルも成立したよさこい部。開催まで残り少ない期間を合宿という形でより切り詰めていきますが、どこか楽観的な4人と、遅れて入った分を取り戻そうと躍起になるマチの間でやや熱意のズレが生じています。もともとマチがストイックすぎるのもありますが、自分にも他人にも厳しい性格で、やや反感を買ってしまいました。

とはいえ、マチが必死なのは事実であり、どこか浮き足立っていた周りも悪かったのかもしれません。なる達側から歩み寄ることで、マチの真摯さを知りつつ、花彩祭りへの士気を高めていくのでした。が……

11話。日本へやってきたハナママ。夫婦仲は円満なものの、お互い働き詰めということもあって離婚の道を選んだハナの両親ですが、ここに来てもう一度やり直そうという話が上がってきました。その結果、ハナはアメリカへ帰らざるを得なくなります。

ハナが日本に来て一番の友達であるなるにだけこのことを打ち明け、彼女に言われた「自分が一番笑顔になれる選択」として、家族の幸せを選びました。4話でタミが経験した「自分の幸せ」と「周囲の幸せ」が相反するジレンマかもしれませんね。しかし、突然そのことを聞かされたヤヤ達は当然の権利が如く、彼女を追いかけます。ここで真っ先に動くのが、散々迷惑被ってきたヤヤというのが本当に大好きです。こいつヤヤの話しかしないな。謝罪してほしいとかじゃなく、せめて一言言ってほしかった、というのが素直な気持ちですね。

なんとか出発の時間に間に合った一行は、お互いに別れの挨拶を済ませ、なる達は改めてハナの意志を継いで、花彩祭りへいっそう意気込むのでした。

そして最終話。もはや語るのもおこがましいというか、見て感じてほしいのが素直なところなのですが。

冒頭のOPカットからして、特別感をもろに出してきてますよね。このアニメは1話から通常OPがありましたから。そして練習に使われる曲としてフェードインしてくるという。

それからなんやかんやあってついに花彩祭り。家を出る前のなると父のやりとりがいいですね。愛娘に訪れた変化が杞憂だったことも含め。出番自体は少ないですが、なるパパは印象強いです。なるも、1話の泣き虫だった頃と比べると精神的にとてもタフになり、自然とよさこい部の中心・代表として振る舞っています。親心じゃないけれど、やはり主人公は関谷なるなのだと改めて思い知らされます。

さて、ステージ。この一連のシーンはもはや自分の中で神格化されている部分もあると思うのですが、それにしても最終回の挿入歌にOPが使われるのは王道かつ激アツです。なによりOPに使われたカットと一致する場面が何度もあるのが本当にずるい。ハナヤマタ自体はアイドル作品にはあたりませんが、他のアイドルアニメが最終回のここ一番でOPED楽曲でなく新曲をお出ししてきた時に、喜ぶどころか若干がっかりしてしまうようになったのは、明らかにこれ(とアニマス)の影響が大きいと思います。

ステージが終わるともうED。本番前には出来なかった"よさこい部5人"での円陣を組んで大団円……そして、全員ver.の特殊ED。畳み掛けますね本当に。『花雪』自体はタイアップですが、大坪さんがキャストとしても出演していたのがある種の決め手でしょうか。やっぱり5人揃ってこそ、なんだよな。

アニメ界隈は新陳代謝が活性化しているのもあってこの作品ですら古めの域に達していると思うのですが、その間に放送された数多くのきらら作品ファンを取り込む良い機会だったと思います。何より直後におちフルが控えているのはでかいですからね。原作ユーザーからすると「本当にそれでいいのか?」と言いたい気持ちはありますが。ハナヤマタからおちフルへ同じ作者の作品として案内するのは犯罪と認められていますからね。まあ原作も後半は侵食されているのだが。

……とにかく。6年の時を経て、改めて日を浴びることになったハナヤマタ、そのきっかけ?となったavexとおちフル、限界ツイートを連投した公式垢や実況に参加して下さった声優さん、そして何よりも、連載が終わってだいぶ経つのにこの時期にTwitterを開設し、毎週描き下ろしイラストを投稿して下さった浜弓場双先生に、最大限の感謝を。

次は、月曜22:30からお会いしましょう!放送時間が変更になっても知らないからな。