Saltの思うこと

思ったことを書いていけたらいいなあ

2021秋アニメ感想

2021年も終わりです!!

今期はオリジナルアニメを5作品ばかし見ていまして、割合としては結構多かったかなと思います。まぁそもそもの話、最近は見る数自体がそこまで多くないのですが。

ともかく今期は評価が大荒れなシーズンでした。以下は感想文です。

やくならマグカップも 二番窯

実は分割だった系ご当地アニメ。今回も実写枠を取り入れて15分+15分の構成です。色々言われたかもしれないけど、結局のところ多治見が自ら発信するコンテンツで実写枠を取り入れなくて何が町おこしだという気もする。

で、そうなると実質半分の尺でやるアニメは割を食わないか? と思いがちだけどこれは逆で、むしろ15分しか無いからこそ必要な部分だけをギュッと濃縮できるので、見応えはあった方です。ついでにCMを挟まずに1話が終わる点でも見やすい。延々とパワーを溜めたり死亡シーンを垂れ流したり回想で尺稼ぎするよりよっぽど建設的な構成だと思う(無への攻撃)。

本編は気持ち心情描写が増えた気がします。特に姫乃と十子先輩に顕著ですが、伝統工芸だからこそ偉大な親を持つと苦悩するものなんでしょうね。最終的にはどちらも吹っ切れるし、「自分で作り上げる」陶芸だからこそな結論を導いて良かったと思います。これが美術絵画でも同じ答えになるかもしれませんが、受ける印象は若干異なりそう。どのみち、クリエイティブの世界において若い芽は摘んではいけないってことで。

海賊王女

I.G.のオリジナルアニメ。さっき調べたら海外で先に配信されていたらしいです。やけに和風モチーフが入ってくると思ったらそういうことだったのか……(偏見)。

始まった当初は綺麗な絵作りや世界観に魅了されていたのですが、終盤になるにつれてやや抽象的というか説明がフワッとし始めて、ラスト2話は正直に言って置いてけぼりでした。

でもこれは尺不足ともちょっと違う気がするんですよねえ。たぶんだけど視聴者側の感じる作品ジャンルがズレてたんじゃないかなと。タイトルや当初の目標からして冒険ものだと思ってたんですが、そっちは割と必要経費みたいなもので、本質的にはフェナと雪丸の二人の物語だったんだと思います。要するに「思ってたのと違った」で終わっちゃうのが悲しいですね。ただその上で、最終回で急に押しつけられる役目だの何だのは若干理不尽を感じないでもない。

境界戦機

サンライズのロボットアニメ。なんかもうそれだけで一定の安心感が得られますね。もちろんプラモ展開等もしているようです。

全体的な空気感がやけに『ルルーシュ』と被ってしまったのが若干の不幸と言えなくもないですが、こちらはワンマン体制よりは超万能AIによる無双の方が近い気もします。かといって操作自体は人間が行うので、統制の取れた無人機相手には苦戦したりすることも多め。何にせよ、ロボットアクションとしては十分すぎるほど見どころたっぷりでした。

シナリオ展開がゆっくりめだな〜と思っていたら、案の定というか分割2クールでした。約3ヶ月の休止を経て再開する2クール目1話のタイトルが「8ヶ月後」なの、よく分からなくて好きです。1クール目は宿敵の無人機ゴーストをアモウが自分の機体もろとも爆発炎上させることで倒した……? というところで終わり。現状では主人公死亡エンドでわりと続きは気になるのですが、それ以上にどうお話をまとめるんだろう。早く見たいです。

進化の実〜知らないうちに勝ち組人生〜

令和になろうが制作環境が変わろうが、こういうアニメがいまだに生まれるあたり、希望かもしれないし絶望かもしれない。自分は希望と捉えています。

まあざっくり言っていつものなろうなわけですが、その中でも極めて混沌としたシナリオに、現場も色々あるんだろうな……と思わず勘ぐってしまうような絵作りが加わり、さらにもう分かってやってるだろ的な声優陣の熱演が組み合わさることで、奇跡的な作品が生まれてしまいました。原作者も書きたいものを勢いのままに書いた結果こうなったそうなので、ある意味後悔は無いのかもしれない。

と、ここまで書いて分かるように世間一般からは嘲笑される対象のアニメなわけですが、個人的にはあまり高尚っぽく繕った作品よりは、立場を弁えて全力で振り切った作品の方が好きだったりします。必要悪というか。内容の是非は別だし、本作に関してはその自分ですら凍りついてしまうようなシーンが多かったのだけど……。脳を溶かすとまでは行かずとも、使わずに見れる作品は各クール1本は欲しいですね。

闘神機ジーズフレーム

放送開始1週間前に発表というあまりに突然な登場が印象的。加えて19時という深夜と呼ぶにはあまりに早い時間帯で、見れない人も多かったんじゃないでしょうか。

制作は中国のアニメスタジオ七霊石が担当。早い話、ハオライナーズとかそれに通ずる中国産のアニメです。設定自体は一応日本みたいですが。スタッフにも日本の方が多く関わっていて、すごく中国作品! という空気感は漂わせていません。

内容は今期いくつもあるロボットアニメのうちの一つで、こちらは宇宙が主戦場。ちょっとヤマト的なノリというか、全体を見ると「行って」「帰ってくる」シナリオです。ただ、若干説明不足というか脚本の粗っぽさが目立ったような気も。描写あるいは台詞による解説が少なく、ある程度は「なぜそうなったのか」を察する能力が必要だと思います。もちろん察せられる程度に情報は散りばめられているので、ちゃんと見れば理解はできる。けど明確な答え合わせはしてくれない……というちょっとした虚しさ。

全体的にはやや薄味というか、微妙に能力を発揮しきれていない感が否めませんでした。もう少し整えてやれば、けっこういい作品になれる気がします。傲慢かもしれませんけど。

takt op. Destiny

毎クール一定数必ずいるソシャゲ原作枠。その中でもリリース前の販促を兼ねたものと単純な人気から来るものの2つがありますが、こちらは前者。

歴史上の偉人を現代風に描き起こす作品はいくらでもありますが、楽曲をモチーフにしたものは初めてかもしれません。あまり音楽には明るくないけど、クラシック縛りとかあるのかな?

MAPPA & MADHOUSEのタッグという聞くだけで震え上がりそうな制作陣も相まって、全体的に高品質でしたね。お話もしっかり主目標が明らかになっていて分かりやすかったと思います。なにより「音楽」という原点(原曲?)を大事にしているのがよく分かる。

続編となるソシャゲは配信を来年に延期していますが、少なくとも本作からゲームに繋げるという意味での終わらせ方はかなり理想的でした。発表されていた一部キャラのデザインやCVがアニメと異なる理由をきっちり描いていたし、それらを踏まえて新たに始まる物語と考えるとすごくロマンに溢れていますね。

プラオレ!〜PRIDE OF ORANGE〜

こっちもこっちでソシャゲアニメ。ただどちらかというとメディアミックス寄りで、アニメは先鋒を務めてます。本筋はゲーム。

栃木が舞台のアイスホッケー題材という、純粋にそれだけで物珍しいタイトルです。この手の激しくぶつかり合う競技は特にアクション作画が重要ですが、特に崩れることもなく、試合描写が分かりづらいこともなく、かなり安定度は高かったですね。ただ一点、防具ヘルメットの関係で瞬時のキャラ判別が困難なのは仕方ないと言えば仕方ないけど……みたいなところ。判別しやすく顔をアップにすると構図が不自然というジレンマがつきまとう。

シナリオそのものは可も無く不可も無くな感じで、女の子たちの健康(健全ではないのがポイント)なスポ根アニメでした。今期オリジナルアニメ群の中では、至って平凡な内容だけど逆に変なことをしなかったから評価を下げようがないというおかしな事態に。……いや、変なことはしてるんですけど。

あのウイニングライブがどういった経緯で突っ込まれたのかは知る由もありませんが、でも無い方が良かったかと言われるとそれも違うよなぁ。踊ってる本人や周囲も若干疑問符を抱いてたのは面白かったです。そのうえダンスシーン自体はかなり力が入ってるってのも。いったい何を狙ってこれ入れたんだろう……。

世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する

もうそろそろ「いつもの」って書いただけでジャンルは伝わるんじゃないかなと思ってます。例に漏れず特殊能力のオンパレードで無双するんですが、それにまつわる設定がゲームのキャラクリエイト的なのは、先駆者達を皮肉ったのか違うのか。

これはただの好みですが、自分はハーレムものは特に異世界だと妙に抵抗感がありまして、とりわけ本作は終始真面目に進行するだけに、余計に「この要素いらねえなあ」と思ったことがなくもなかったです。ギャグに振り切ってれば別なんだが。なんなんでしょうね。好意を抱かれる理由付けが鬱陶しいとかなんだろうか。

ただこれも自分の話ですが、久々にまともなヒロインを演じている上田麗奈さんが見れた点は評価しています。今期も含めて最近はイカれた役ばっかだったので(推しに対する偏見)。助演女優賞自体はめでたいんですが、主役キャラも増えてほしい。

ちなみにあれだけ雑に続編フラグを立てて終わらせたわりに特報とか無かったですが、今期アニメではぶっちぎりで海外人気があるそうなので、待ってればそのうち来ると思います。きっと制作側のスケジュールなんだろうな。

白い砂のアクアトープ(2クール目)

今年って2クールアニメが多くて、自分の場合は『バック・アロウ』『ブルリフ澪』、そして本作と、丸一年を通して2クール見ていました(変な日本語)。来年への橋渡し担当は後述。

さて、2クール目では崩壊したがまがま水族館を後にし、舞台を新設の水族館「ティンガーラ」へと移します。そこで新たに繰り広げられる人間関係やお仕事劇がメインになりますね。そういう意味では非常にP.A.WORKSらしいアニメになったと言えます。

1クール目と2クール目では話の雰囲気等もガラリと変わりますが、個人的には1クール目の方が後付けの前日譚スピンオフのような立ち位置なのでは? と思いました。先述したように本当に「P.A.のお仕事アニメ」フォーマットにハマった展開になる(嫌にリアルな上下関係描写で主人公を曇らせるあたりとか)ので、制作的にも2クール目が本番なんじゃないかと思います。

そんな2クール目ですが、登場人物が倍ぐらいに増え、その新キャラにも少なくない見せ場を与えようとした結果、主題があまり見えてこない印象を受けました。本筋があっちこっち動き回ってとっ散らかってる、と言うべきか。全体を通して見れば風花とくくるの成長譚と単純な結論こそ出せますが、それゆえにもう少し大きめの一本筋が通ったものが欲しかった気もします。一応そっちの面でも所謂SDGs的な要素は出していましたけど。

でもまぁ、お仕事なんて、次から次へと目標が打ち立てられて、終わることなんて永遠にないので、こんなもので、いいのかも、しれな、い。

プラチナエンド(1クール目)

原作は『DEATH NOTE』の二人。最近まで連載していて、2クールかけて完結まで描くそうです。

これまた少し変わったバトルロイヤルもので、バトルジャンキーや金持ちの道楽というよりも生への執着を持つ者同士の生存競争みたいな感じですね。天使と、それにまつわるアイテム周りのレギュレーションが細かく定められているのが印象的。ちょっと後出しっぽさが気になりますが。

前半クールではメトロポリマンを取り巻く騒動の中で戦う姿が描かれますが、それにしたって主人公の明日(ミライ)が大甘ちゃん。それ自体は自分自身もファイアーエムブレムなどで経験しているので悪いことだとは思いませんが、とにかく「相手を殺すこと」に対する区別・差別を絶対にしないため、たとえ自分の命を今まさに奪わんとする相手であろうと殺す手を躊躇してしまうのには、さすがにモヤつく部分も多かったです。多くの場合は踏ん切りを付けるなどするので。この徹底した不殺主義が今後良い方向に傾いてくれればいいのですが。

SELECTION PROJECT

王道のアイドルアニメ……ではなく、いわゆるオーディション番組をテーマにした作品。現実だとNiziUとかのアレが該当するんですかね。サクセスストーリーというよりドキュメンタリーっぽいところもあるかも。

放送初期から色々と別作品と設定の類似が見られ、一時はどうなることやらと思っていたのですが、中盤以降はオリジナリティを発揮してくれました。ただ、一つの山場となるシナリオがそれこそ件の作品と丸かぶりだったためにちょっとまともな感情で見れなかったのは勿体ないというか何というか……。

さらに終盤、どう考えてもメンバー側が番組制作の思惑に振り回されているのは気の毒でした。全員失格から草の根活動、番組効果の知名度もあって成果が実り始めた頃に再び声をかけられるという、そもそもの話全員失格となるきっかけの企画が失敗だったんじゃんと言わざるを得ない展開はいただけなかったです。お話としては大団円で終わったけど、裏側が見えている視聴者的には大人の汚さ・都合良さ(?)の方が印象として勝ってしまった気がします。

終末のワルキューレ

NETFLIX制作アニメの地上波放送ですね。来期では『ジョジョ』が該当します。↓の『ゆゆゆ』共々「神vs人」の構図ですが、こちらはバトルロイヤル的なやつ。神も歴史上の偉人も聞いたことある名前ばかりなので、キャッチーで良いと思います。神の名前はFEHで知ったパターン多いけど。

全13番勝負で原作未完という状況から察せられるように、話の進行は極めてゆっくり。回想による尺稼ぎはどこにおいても常套手段ですが、特に顕著な例です。ちなみに第1シリーズでは3回戦まで。

尺稼ぎとは言っても大体1回戦につき3〜4話で進行するので、話の引きの弱さ以外はそれなりにテンポは良かったと思います。常に頂上決戦な都合上、絵的に映えるシーンも多かったし、展開の都合があるとはいえ勝敗が意外とハッキリしないので、なんだかんだダレることは無かったかも。

放送中では特に告知がありませんでしたが、続編が既に制作中とのことで、地上波放送がいつになるかは分かりませんが、楽しみに待ちたいと思います。個人的には全編完成してから長期間放送してほしいのだけど、予算がね……。

結城友奈は勇者である 大満開の章

実に7年に渡る長期シリーズでしたが、いよいよクライマックス。結城友奈パートは概ね第2期の再放送でしたが、そのかわりスピンオフだった『楠芽吹』と『乃木若葉』を本編に組み込む形でシナリオのバックボーンを大きく肉付けしています。

情報量に対して1クールという短い尺でしたが、その肉付け部分を始め、詰め込むだけ詰め込んだ内容でした。登場人物こそ増えたように思うけど、スポットが当たるパートがざっくり分かれているので見づらさは感じなかったです。

そして何より、第2期最終回の「その先」を描いたのが印象的でした。長期シリーズのグランドエンドはそれだけで寂しくなりますが、特に本作は厳しい戦いを強いられていただけに、解放された彼女たちがとても楽しそうでこっちも嬉しくなりますね。「神の庇護下から脱した人類が、自らの足で力強く明日を生き抜く」という構図は、個人的には『ゼノブレイド』や『FEエコーズ』で幾度となく見た光景ですが、やはりいいものです。

コードギアス 反逆のルルーシュ(再放送)

15周年ということで再放送。元々アニメイズム第1弾タイトルでもあり原点回帰なわけです。

有名タイトルでありながら、その歴史の長さから察するように自分は初見。とはいえ主人公ルルーシュを務める福山潤さんの声が全く変わっていなくて、声優スゴイなと月並みな感想を抱きました。2クール作品ではありますが、序盤の展開は結構激しめ。ルルーシュがゼロとして黒の騎士団を率いるまでは目まぐるしいほどのスピードでお話が進行します。現状はルルーシュのピンチで幕引きとなっているので、続きも楽しみにします。

元は12話で前半が終わるんですが今回は編成の都合で13話で1クールが終わることになったり、ちょっと当時と異なる状況なのが垣間見えますが、作品の質には関係無い部分なのでノーカン。この手の再放送はOP・EDだけ変わってしまうのが悩みどころですね。

見える子ちゃん

なにかと絵面のインパクトが強いちょっとシュール系ホラーコメディ。毎話内容が変わる原作CMとか最終回の提供芸とか、細かいところに凝っていた印象です。

はじめは一発ネタで押し通すのかなぁと思っていたんですが、中盤以降はストーリーが展開されていきましたね。ユリアが出てきた辺りからかな。ストーリー展開のぶん、序盤やけに多かったフェチアングルが減ってしまったのはちょっと残念です。

個人的には日曜アニメはそこまで見ていなかったので、濃ゆいアニメが多い今期としても癒しのような枠として認識していました。それにしてもcv雨宮天の姉が欲しい人生だった。

月とライカと吸血姫

冷戦期のロシアとアメリカ間における宇宙開発戦争をモチーフにした貴重なラノベ原作です。自分が『MGS3』由来でその時代に関心があるのも相まって、けっこう意欲的に見れました。

しかしただ有人宇宙飛行を達成するだけではただのドキュメンタリーなので、そこに吸血鬼というファンタジー要素を含むことによって、国家間の競争よりもう少しスケールの小さい、派閥での勢力争いみたいな感じがメインになっています。まあ要するに今どき珍しくない異種族との対立・理解みたいなやつ。太陽が苦手な吸血鬼ということで、タイトルにもある月を引き立てているのが良いですよね。

原作はつい最近完結したそうですが、アニメ本編はまだ最序盤らしく、しかしながら上手くまとまって綺麗に終わったと思います。ここから先はたぶん視点を変えての展開になったりすると思うので、レフとイリナの二人の物語としてはいい区切りなのかもしれない。